5. ○○の日

穏やかな午後、庭先でぽかぽかとした陽気を楽しみながら、鯰尾、歌仙、村正、にっかりが縁側に座って話していた。白玉はそのそばで静かに団子を口に運んでいる。会話のきっかけは、ふと鯰尾が「いい○○の日」という話題を振ったことだった。

「11月って、やたら『いい○○の日』って多くない?」と鯰尾が楽しげに言う。「例えば、いい夫婦の日とか、いい肉の日とかさ。あ、いい刃の日とかもあるらしいよ!」

「いい刃の日か……。それはまた、風流だな」と歌仙が少し考え込むように頷いた。「刀剣としては喜ぶべき日だが、良い刀とは何たるかを深く考える日でもあるな。」

「さすが歌仙、堅いなぁ」と鯰尾が苦笑する。「俺はいい団子の日とかがあればいいな~。団子をいっぱい食べても怒られない日!」

その言葉を聞いて、白玉は手元の団子を見下ろし、小さく「いい……団子の日……」とぽつりと呟いた。その仕草を見た鯰尾は嬉しそうに笑う。

「ワタシなら……そうですね、『いい裸の日』があれば楽しいと思いマス」と村正が意見を述べ、周囲を驚かせる。「着物を脱いで、自由になって、心も体も解放される……なんて素敵な日でショウ!」

「村正、お前……」鯰尾は呆れたように頭を抱える。「そんな日が本当にあったら大変なことになるよ!」

「ふふふ、鯰尾。何事も試してみないと分かりませんヨ」と村正は艶然と微笑む。

そのやり取りを聞いて、にっかりが静かに笑いを漏らす。「いい裸の日か……村正らしい意見だね。でも僕は『いい笑顔の日』が好きかな。笑顔が一番大事だと思うから。主だって、みんなの笑顔があれば安心するだろう?」

その言葉に、白玉がふと彼らを見渡す。そして、柔らかく頷いた。

「みんな……笑顔だと、あたたかい……」

「そうだよね」にっかりが優しく返す。「だから、今日もいい日だよ。」



「そういえばさ、主はどんな『いい○○の日』があったら嬉しい?」と、鯰尾が柔らかく尋ねた。

白玉は団子をかじる手を止め、少し考えるように視線を落とした。それからぽつりと、静かな声で答える。

「……いい……おやつの日……?」

その言葉に、すぐに鯰尾が大きく笑い出した。

「ははっ、主らしいや!確かに、おやつの日があったら嬉しいよな!団子も、もっとたくさん食べられるよ!」

「良いではないか。『いいおやつの日』……お茶を片手に、美味を楽しむ。風流の一端だな。」

「フフフ、それならおやつを楽しむために脱ぎまショウか?」村正が肩を揺らして笑う。「きっと体も心もリラックスしマスよ、主。」白玉はイヤそうな顔で首を振った。

にっかりが微笑みながら、主に声をかけた。「主の『いいおやつの日』って、どんな風に過ごすのが理想なのかな?」

再び問いを向けられた白玉は、少し考え込む。やがて、小さな声でぽつりと答える。

「……みんなで、食べる……」

その一言に、四人は一瞬黙り込み、それから優しい表情を浮かべた。

「そうだな、主の言う通りだ」と鯰尾が頷く。「みんなで一緒におやつを食べるのが、一番だよな。」

「フフフ、主は本当に優しい方ですネ」と村正が微笑む。「おやつを食べる時間も、大切なひとときを共有する場に変えてしまう。」

「主の言葉には品格があるな」と歌仙が静かに続ける。

「いいね、それなら僕も賛成だよ。」にっかりが笑顔を浮かべる。「今日から、主の『いいおやつの日』、スタートってことで。」

そう言いながら、にっかりは白玉の団子をひとつつまもうと手を伸ばすが、白玉はすかさず自分の団子を抱え込んだ。

「……これは……あげない……」

その仕草に四人は声を上げて笑い、ほのぼのとした午後の時間が、さらに温かいものに包まれていった。

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